スワン族のオーソリティになるにはやはり初代スワンを極めておく必要があるだろう。スワンは長岡先生が以下の点を極めようとして初めて形になったものだという。
1.点音源への限りない接近
2.フルレンジ一発
3.正面軸上で聴く
4.中音域重視
5.バッフルは極力小さく
このカタチは、夢の中に出てきた白鳥からひらめいた、というのは有名な話なのだが、いささか都市伝説っぽい。しかし、このあたりも長岡先生の発想力が光るのである。常人ではとても思いつきそうにない形状だ。それゆえに初めて見た人には奇妙な形に見えるのである。私が最初にスワンを見たときは、正直なところなんてアクのある形だろうと思ったものだ。長岡先生自身も「焼却炉」とおっしゃっている。その仰天のサウンドがなければ誰もこんな形のスピーカーを部屋に置きたいとは思わないだろう。それくらい形状的には洗練されていない。
さて、初代スワンは次のように2つのパーツからなる。
▲胴体とヘッド・スロート部の二つのパーツからなる
首の輪はストッパーの役目をする。最初のセッティングの際に、ネックを胴体に挿してスピーカーユニットの軸が耳と同じ高さになるようにネックを上下にスライドさせて調整するのだ。初代スワンはそれほど「正面軸上」を追求したのである。その後、この軸上という概念はそれほど聴感上は大きな影響がないことがわかったのか妥協したのか、やがてネックは固定式となるのである。
▲首を胴体に挿した図
ここにおいても接着はしない。
▲リアビュー
▲内部のようす
▲胴体の音道のようす
スーパースワンなどと決定的に違うのが胴体中央にデッドスペースがないことである。
数値的な違いは以下のとおり。
スーパースワン | スワン | |
ヘッド容積 | 1.924 | 1.728 |
音道1 | 42 | 39 |
音道2 | 72 | 85.5 |
音道3 | 77 | 88 |
音道4 | 132 | 132 |
音道5 | 208 | 175 |
音道6 | 358.6 | 367.4 |
グラフにすると、
やはり初代ということもあり、音道の広がり具合は若干いびつである。スワンからレア、そしてモアへのスワン族の歴史はこの初代スワンから始まったのである。偉大なる一歩の記念すべき作品なのである。
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